1番のリード

サックスのリードには色々な硬さと、その硬さを示す番号があります。
だいたい、2半(2と1/2)、3、3半(3と1/2)あたりを使っている人が多いでしょうか。

タイトルの「1番のリード」。この1番は一番良い、という意味ではありません。硬さの番号としての「1」番です。

価格表や硬さ比較のチャートには、大体は1から5までの数字がありますが、実際に「1」や「5」のリードの現物を目にしたことのある人は少ないはず。そんなわけで、先日、自分のTwitterに「1」番のリードの写真をアップロードしたら、200件以上の反響(いいね)をいただきました。

ただ一文字、「1」。最小の整数であり、0を自然数に含めない流儀では、最小の自然数とも言える「1」(by Wikipedia)。清々しい。

実は、自分の色々な課題解決のためのアンブシュアの柔軟性のトレーニングに使えるかな、という興味で手にしたこの「1」のリード。最低音のB♭(とても音程が上擦りやすく、全部のキーを閉じているので換え指がない)の音程補正(チューナーでゼロピッタリに簡単に合わせられる!)の感覚など、一般的な硬さのリードでは味わえない部分が多々ありました。
でも、流石に柔らかすぎて、アンブシュアという概念がなくても(どんな咥え方でも)息さえ入れれば(たとえため息でも)音が出るので、練習・トレーニングという観点でも手に余るかな、という感想。でも、サックスの基本的な構造を改めて認識する機会になりました。

さて、でもせっかくのレア(?)なリードをそのままにするのももったいない!ということで、どれくらい音が出やすいのかを実験しました。使うのは、この1番のリードをつけた楽器と、チューブ、そして風船。

音が出ました。Twitterでは先の1番のリードの写真よりも、さらに大きな反響もいただきました。笑

ちなみに、今回のセッティングは下記の通りでした。

リード:バンドレン トラディショナル 1番
マウスピース:セルマー S90 180
リガチャー:下記チューブで代用
風船と繋ぐチューブ:透明ビニールホース 内径25mm(by 東急ハンズ)
風船:キャンドゥーの25個入り

サックスという楽器は、その吹きやすさから「電車の窓から吹き口を外に出すと、音が鳴る」という比喩が昔から言われてきました。さすがにただ楽器を外に出すだけでは音が鳴ることはありませんが、そんな話が出てくるほど楽器が音が出る仕組みは単純なのだということを、改めて感じさせてくれる結果になりました。

一方で、音が出るけれど、風船の空気だけでは酷い音です。これをコントロールする息のスピードであったり、またはアンブシュアだったりを作っていく、この“ザ・生音”を自由自在に輝く宝石にしていくことが、私たち演奏者の大切な仕事の一つであり磨いていく技術の一つなんだろうなあ、と思いました。

ブログカテゴリー検索